2016/08/24
地球温暖化がオリンピックに及ぼすリスクとは?

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今年は日本のメダル獲得数も過去最多となり、盛り上がったオリンピック。
4年に1度のお楽しみとも言えるオリンピックですが、どうやら温暖化影響の魔の手はこんなところにまで伸びているようです。

英医学誌ランセットに「地球温暖化ゆえに、将来は開催が厳しくなる」と警鐘を鳴らす論文が掲載されました。
熱中症のリスクが高まり、マラソンなどの競技が難しくなるため、冬季五輪への競技変更や競技中止の可能性があるそうです。
研究者チームは、2084年の夏季オリンピックのシミュレーションを行いました。
五輪開催都市の基準となる「標高1600メートル未満で人口60万人以上の北半球の645の候補地」に対して、気温や湿度、紫外線の強さや風向きなどで、総合的に気象条件を判断する「暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe emperature)」を適用。地球温暖化が加速した70年後の世界での五輪予想データが発表されています。
同データで2084年にも開催条件にかなうのは33都市に限られ、夏でも比較的涼しい西欧の各都市を除くと、わずか8カ所のみ。ロシアのサンクトペテルブルグやモンゴルのウランバートル、北米ではバンクーバーやカルガリーなど、どちらかというと、夏よりも冬季五輪の開催候補地となってきた都市が名を連ねています。
さらにシミュレーションを進めてみると、22世紀では西欧の4都市でしか開催が不可能なレベルまで、急速に地球温暖化が進展してしまっていると予測されています。

また、開催が危ぶまれるのは夏季オリンピックだけではありません。
過去に冬季オリンピックが開催された都市のなかで、今後も開催することができるのは、今世紀末にはわずか6都市しかなくなる可能性があることがUniversity of WaterlooとManagement Center Innsbruckによる共同研究により判明しました。
もっとも保守的な気象変動の予想に従った場合でも、次の10年において冬季オリンピックを開催することができるのは、過去の開催地の19都市中、11都市しかないとのこと。
この研究の結果、有名な冬季オリンピック開催地では21世紀中期になると開催に適した気象条件を維持することができないことがわかりました。そして21世紀後半にも現状のままで温暖化が進行した場合には、最終的に過去の開催地で今後も開催が可能な気象条件を維持できるところは6都市しか残らなくなるそうです。
冬季オリンピック開催地の開催月となる2月の日中気温は、1920~50年代がマイナス0.4度、1960~90年代が3.1度、そして21世紀以降は7.8度と一貫とした上昇基調が続いています。