2017/07/20
地球温暖化が航空機に影響を及ぼす?!

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地球温暖化の影響で、航空機の輸送能力に影響が出る恐れがあるとする研究成果を、米コロンビア大やNASAのチームが13日に発表しました。
温暖化がこのまま進むと、今世紀後半には世界各地の空港で、離陸する航空機に重量制限が課されたり、涼しくなるまで離陸を待つ事態になる可能性があるそうです。
この原因は、空気の密度にあります。空気は温度が上昇すれば膨張し、密度が低くなるため、離陸するときに必要な空気抵抗やエンジンの推進力が低下します。
すると、航空機は重量を軽くするか、離陸速度を上げて対応することが求められます。
機体重量を軽くするためには、荷物の重量制限や搭乗人数の制限が必要です。
暑い日の日中には、航空機の10~30%は燃料・貨物・乗客を最大4%減らさなければならなくなると予測されています。
例えば、座席数160席前後の旅客機の場合、乗客を12~13人も減らさなければいけません。
一方、離陸速度を上げるには多くの燃料と長い滑走路が必要です。
これは、立地条件的に長い滑走路を確保できない空港では致命的な問題になります。
以上の条件を満たせない場合、気温の高い時間帯の離陸をキャンセルしなければならない可能性があるといいます。
実際、米アリゾナ州のフェニックス・スカイハーバー国際空港では、先月20日に気温49度を記録し、安全基準を上回ったため、計43便が離着陸を見合わせる事態に。
また、韓国・仁川国際空港の第3滑走路は、2008年の建設時、未来の温暖化を見越して4000mもの長さに設定されたといいます。
他にも、温暖化が航空機に及ぼす影響については、飛行に危険な乱気流などが増えて目的地までの所要時間が長くなる、海面上昇により一部の主要空港は水没する可能性がある、といった点も指摘されています。

研究では、世界各地の空港の最高気温は、2080年までに年平均4~8度上昇すると予測されています。
このまま温暖化が進行すれば、飛行機の利用者にも離陸キャンセルや延期、搭乗人数が減ることによる航空運賃の値上げなど、直接的な影響がでるかもしれません。