2017/05/16
温暖化だけではない CO²が海に与える影響

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火力発電所などから排出された二酸化炭素は、大気中にとどまって地球温暖化をもたらすだけでなく、海に溶け込んで弱アルカリ性の海水を中性に近づけます。
この現象を「海洋酸性化」と呼び、地球温暖化と並んで「もう一つのCO²問題」とも言われています。


海洋は大気に放出されたCO²の約3割を吸収し、地球温暖化の進行を緩和する役割があります。
しかし、CO²がたくさん海に溶け込むと、海水のアルカリ度が下がってしまいます。
通常、海水のpHは8.1前後の弱アルカリ性ですが、じわじわと中性に近づいています。
2014年に公表された報告書でも、産業革命が始まった18世紀後半に比べて、pHが0.1程度下がっていると推測されているようです。
数字だけ見れば僅かな変化に思えますが、海の生態系に影響を与えるには十分な数値と考えられています。
これまでにCO²の影響で稚魚の段階で死んでしまったり、成長が遅れたりすると報告されており、魚介類などへの影響を調べる研究も始まっています。


他にも、ベーリング海で殻が薄くなったプランクトンが見つかる、沖縄でサンゴが減少しているなどの報告もされています。
プランクトンやウニ、貝やサンゴなどは、海水中のカルシウムや炭酸イオンを取り込んで殻を作ります。
ところが、酸性化で水素イオンが増えると、炭酸イオンは水素と結合しやすく、殻の形成には使いにくくなります。
結果として殻が薄くなる、殻が溶けるなどといった現象が起こってしまいます。


今後も生態系への影響解明に取り組むとともに、実海域での観測を強めていく必要があるとのことです。